五枚おろしを終えたサクには、ヒラメ最大の美味とされる「えんがわ(縁側)」が背ビレ・腹ビレの付け根に沿って付着しています。えんがわは、ヒラメがヒレを激しく波打たせて泳ぐために発達した強靭な筋肉であり、濃厚な脂とコラーゲンが凝縮された極上部位です。
💡 【えんがわを綺麗に外すプロのコツ】サクをまな板に置いた際、サクの端に白く筋張った帯状の部位がえんがわです。サク本体とえんがわの間には薄い筋膜の境界線が存在します。包丁の刃先をその境界線に浅く当て、親指の腹を使ってえんがわを外側へ押し広げるように優しく剥がすと、包丁で切り落とすよりも身を削らず、美しい帯状のまま採取できます。
続いて行うのが、多くの初心者が身をちぎってしまう最難関工程「皮引き」です。失敗しないための物理的アプローチは以下の3点に集約されます。
まず、尾側の端の皮を1〜2cmほど剥ぎ、左手でその皮を乾いた布巾やキッチンペーパーを使って滑らないよう強く掴みます。次に、柳刃包丁の刃をまな板とほぼ平行(角度約5度)に寝かせて皮と身の間に当てます。ここで最も重要な裏ワザは、「包丁を押したり引いたりするのではなく、包丁を一定の位置で固定し、左手で掴んだ皮の方を左右に小刻みに引き抜く」というブレードストップ技法です。包丁を動かそうとすると刃が皮に食い込んで途中で切れたり、身側に深く入って歩留まりが落ちます。皮を引くテンションを均一に保つことで、銀皮の残った美しいサクに仕上がります。