まず基本となる遮二無二の読み方は「しゃにむに」です。初見では難解に見える漢字の組み合わせですが、国語辞典や古典注釈の記録を辿ると、非常に論理的かつ情動的な言葉の形成プロセスが浮かび上がってきます。
四字熟語としての由来と成り立ちには、主に2つの有力な説が存在します。1つは、仏教用語である「無二無三(むにむさん)」が音変化し、強意の漢字が当てられたという説です。無二無三とは「二つとなく三つともない、ただ一つの絶対的な真実」を意味し、転じて「他の選択肢を考えず、ひたすら一つの物事に専念する」様子を表します。これが口頭語として定着する過程で、音の響きと勢いを強調する形で「遮二無二」へと変化したと考えられています。
もう1つは、漢字の原義に忠実な解釈です。「遮(しゃ)」は「遮る(さえぎる)・防ぎ止める」を意味し、「無(む)」は「存在しない」を示します。つまり「二つの選択肢を遮り、二番目の考えを無くす」という構造です。人間が行動を起こす際、「もし失敗したら」「別の道はないか」と二の足を踏む迷いを強制的に遮断し、「ただ一つの目的以外を完全に排除して突撃する」という極限の心理状態を巧みに表現しています。
いずれの説においても根底にあるのは、「余計な雑念や代替案を一切許さない絶対的な集中と強引さ」です。単なる熱心さを超えて、退路を断った人間が放つすさまじい執念が、この4文字に凝縮されています。