高速走行中の睡魔を「気合」や「根性」で乗り切ろうとする判断は、自ら命を投げ出す行為に等しいと言わざるを得ません。警察庁交通局が公表している交通事故分析資料によると、居眠り運転や前方不注意を含む脇見運転による事故は、衝突時のブレーキ動作が遅れる、あるいはノーブレーキのまま激突するため、通常事故と比較して死亡事故率が約2.5倍から3倍に跳ね上がります。
時速100kmで走行する乗用車は、わずか1秒間で約27.8メートル進みます。運転手が強烈な眠気に耐えかねて意識を完全に失う「マイクロスリープ(数秒間の微小睡眠)」に陥った場合、たった2秒目を閉じただけで約55メートル以上もの距離を完全な制御不能状態で暴走することになります。これはサッカー場の半分以上の距離を、目隠しをして時速100kmの鉄の塊で突進している状態と変わりません。
現場の鑑識報告でも、路面にスキッドマーク(タイヤの制動痕)が一切残されていない痛ましい衝突事故が後を絶ちません。脳が限界を迎えたドライバーは「自分はまだ起きている」と誤認したまま意識を落とします。眠気を感じた時点で、すでに脳の認知・判断機能は泥酔状態と同レベルまで著しく低下している事実を、まず直視する必要があります。