ネット上の投稿や動画で「キッチン泡ハイターをお風呂に使ったら劇的にキレイになった」と語られる背景には、れっきとした化学的根拠が存在します。お風呂の黒カビ除去効果の根幹を担うのは次亜塩素酸ナトリウムの強力な酸化力であり、色素を分解する脱色作用と細胞膜を破壊する殺菌力はキッチン用でも十分に発揮されるためです。
特に浴室の目地や排水口周辺に現れる風呂床ピンク汚れの落とし方として検証した場合、この汚れの正体である酵母菌「ロドトルラ」はカビよりも構造が脆く、次亜塩素酸ナトリウムを数分作用させるだけで容易に死滅します。そのため、吹きかけた瞬間に赤みが消え去る様子を目の当たりにした一般ユーザーが、「専用のカビ取り剤を買う必要はまったくない」と錯覚してしまう構造が生じています。
さらに、キッチン泡ハイターは日常的な食器洗いでのすすぎやすさを前提に作られているため、水で流した際の泡切れが浴室用洗剤よりも早いという特徴があります。この「手離れの良さ」が、時短を追求する生活者の間で好意的な口コミとして拡散される要因となりました。しかし、この目に見える表層の即効性こそが、後に深刻な設備トラブルを引き起こす引き金となっています。