脳の血管が突然破裂する悲劇は、ある日突然発生するように見えて、水面下では何年にもわたる血管への負担が積み重なった結果として引き起こされます。破綻を防ぐための最大の防壁は、徹底した脳出血予防血圧管理に他なりません。
脳出血の最大の危険因子は高血圧です。血管にかかる圧力が慢性的に高い状態が続くと、細い動脈の壁は弾力を失って脆くなり、微小な動脈瘤(微小動脈瘤)が形成されやすくなります。日本高血圧学会のガイドラインでは、家庭血圧の降圧目標として125/75 mmHg未満(75歳以上や脳血管障害慢性期では135/85 mmHg未満)が推奨されています。診察室で測る血圧だけでなく、朝晩に測定する「家庭血圧」を把握することが不可欠です。特に早朝に血圧が急上昇する「早朝高血圧」は、脳出血の引き金として極めて警戒されています。
血圧管理と同時に見直すべき生活因子として、塩分摂取量の制限(1日6g未満目標)、過度な飲酒の是正、禁煙が挙げられます。特に大量飲酒は血管の脆弱化を招き、出血リスクを跳ね上げます。さらに、近年注目されているのが「冬場のヒートショック」と「脱水」です。暖かい居間から冷え切った脱衣所やトイレへ移動した瞬間の急激な血圧サージは、血管破綻の直接的な契機となります。また、サウナブームの裏で、急激な温冷交代浴やサウナ後の脱水によって血圧が乱高下し、脳血管事故を誘発するケースも指摘されています。
加えて、脳ドックなどで「未破裂脳動脈瘤」を早期に発見しておくことも有力な選択肢です。動脈瘤の大きさや形状、位置を把握し、破裂リスクが高いと判断された場合には、開頭クリッピング術やカテーテルによるコイル塞栓術によって、破裂を未然に防ぐ予防的治療が可能になっています。