ネット上の口コミや転職コミュニティに寄せられる当事者の告白を精査すると、そこには単なる不満だけではない、リアルな処遇の実態が浮かび上がってきます。
大手金融グループの特例子会社で働く30代男性(精神障害)の手記には、次のような現実が記されています。
「入社当初は手取り13万円で、実家を出ることなど到底不可能だと思い詰めていました。しかし、自立支援医療で医療費を月2,500円に抑え、受給していた障害厚生年金と合算することで月21万円の手元資金を確保。3年間無遅刻無欠勤を継続した実績を評価され、昨年フルタイムの正社員に登用されて月収は24万円(手取り約19万円)まで改善しました。一般枠で心身を擦り減らして倒れた過去を考えれば、適切な配慮を受けながらこの収入を得られる環境は決して『生活できない枠』ではありません」
一方で、地方の中小企業でパート就労する40代女性(発達障害)からは、厳しい現状も吐露されています。
「地方都市では時給1,000円前後の求人が大半で、週20時間働いても手取りは8万円に届きません。年金受給要件を満たしていないため、親と同居していなければ即座に生活困窮に陥ります。配慮は手厚いものの、昇給試験も存在せず、このまま年齢を重ねることに強い恐怖を感じています」
これらの生の声が浮き彫りにしているのは、「環境選びと制度適用の有無によって、天と地ほどの格差が生じる」という身も蓋もない現実です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
現場の取材を通して導き出される、障害者雇用枠を強く推奨できるタイプと、現状のままでは慎重になるべきタイプの境界線は極めて明確です。
- 障害者枠を強くおすすめできる人:
- 一般雇用で体調悪化や退職を繰り返し、まず「安定就労の実績」を作りたい人
- 障害年金を受給中、あるいは受給要件を満たしており、給料との併給が可能な人
- 残業のない環境で体力を回復させながら、資格取得やスキル習得に時間を充てたい人
- 実家暮らしやパートナーと同居しており、当面の固定費負担が比較的小さい人
- 障害者枠への移行に慎重になるべき人:
- 障害年金の受給資格がなく、給料のみで都心の単身生活を維持しなければならない人
- 前職で一定の専門キャリアがあり、給与水準の大幅な低下を受け入れられない人
- 業務の裁量権や出世・昇格への意欲が強く、ルーチンワークに耐えられない人