情報収集を進める中で、多くの家族が陥りがちな典型的な誤解が存在します。ネット上の断片的な情報を鵜呑みにして後悔しないために、プロの取材現場で見えてきた「3つの盲点」を整理します。
第1の誤解は、「小規模だからスタッフ数が多く、常に手厚い介護が受けられる」という思い込みです。制度上定められている介護職員の配置基準は、原則として広域型も地域密着型も「利用者3人に対して職員1人(3:1)」で共通しています。全体の母数が29人と小さいため「目が行き届きやすい」という構造的メリットはあるものの、配置人数そのものが手厚いわけではありません。むしろ大規模施設のように他フロアからの柔軟なヘルプ対応が難しく、突発的な職員の欠員時に現場の負担が跳ね上がりやすいという小規模特有のリスクを内包しています。
第2の誤解は、「医療依存度が高くなっても最期まで看取ってもらえる」という期待です。地域密着型特養の看護職員配置基準は、入居者数に応じて非常勤配置が認められているケースがあり、24時間看護師常駐を義務付けられているわけではありません。胃ろう、中心静脈栄養(IVH)、喀痰吸引が頻回に必要な状態、あるいはインスリン投与の管理など、医療的ケアの比重が高まった場合、施設側の受け入れ基準を超えてしまい、医療療養型病院や介護医療院への転院を余儀なくされる事例が後を絶ちません。
第3の誤解は、「待機者が少ないから広域型より早く入れる」という安易な計算です。広域型特養は1人で5箇所、10箇所と重複申し込みをしているケースが多く、待機者リストの数字が水増しされています。対して地域密着型特養は、住民票を持つ本気度の高い地元住民だけが申し込んでいるため、「名目上の待機者数は少なくても、全員が本命で待っている」という状態になります。数字の見た目だけで「すぐに入れる」と判断するのは極めて危険です。