1は素数じゃない?数学界が下した驚きの結論と除外された真の理由

1は素数じゃない?数学界が下した驚きの結論と除外された真の理由

1は素数じゃない?数学界が下した驚きの結論と除外された真の理由の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

インターネット上の雑学記事や掲示板では、「1が素数ではないのは大昔から当たり前だった」と語られがちですが、これは歴史的事実から見ると明確な誤解です。

古代ギリシャの数学者ユークリッドの時代から近代に至るまで、1の扱いは数学者たちの間でも激しく揺れ動いていました。実際、19世紀から20世紀初頭にかけて活躍した著名な数学者たちの中にも、1を素数の一番手としてリストに掲載していた人物は複数存在します。

象徴的な例が、アメリカの数学者デリック・ノーマン・レーマー(Derrick Norman Lehmer)が1914年にカーネギー研究所から出版した記念碑的な大著『List of Prime Numbers from 1 to 10,006,721(1から10,006,721までの素数表)』です。この膨大な素数リストの栄えある第1ページ、最初の素数として堂々と印字されていたのは、他ならぬ「1」でした。アンリ・ルベーグなどの大物数学者も、文脈によっては1を素数に含めて論じていた時期がありました。

歴史の流れが決定的に変わったのは20世紀前半です。抽象代数学の急速な発展に伴い、「素因数分解の一意性」や「環(かん)における素元・既約元」の概念が体系化される中で、1のような「乗法において相手の大きさを変えない元(単元)」を素数と同一視することは、理論構築上あまりに不都合が多いという共通認識が国際的に確立されました。

つまり、「1は絶対に素数になり得ない神の掟」だったのではなく、数学者たちが何百年もの対話と試行錯誤を重ねた末、「1を除外したほうが、圧倒的に数学の世界を矛盾なく美しく整理できる」と判断した人類の知恵の結晶なのです。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。