かつては「親が大学の入学式に行くのは過保護ではないか」と囁かれた時代もあった。しかし、大手予備校や各大学の保護者会による定点観測データを確認すると、国公立・私立を問わず、保護者の式典出席率は70%から75%前後に達している。地方から上京する学生の住まい確認を兼ねて両親揃って出席するケースや、祖父母を含めた家族総出での参加も日常の光景となった。
そこで問われるのが、保護者としての立ち位置と服装マナーである。大学入学式のドレスコードは、格式の高い式典でありながら、民間企業の入社式に近い厳格さと大人の社交場としての側面を併せ持つ。基本となる格付けは「略礼装(インフォーマル)」から「準礼装(セミフォーマル)」だ。
大学という高等教育機関の主役は、大人としての第一歩を踏み出す学生本人である。保護者の役割は、社会へ巣立つ我が子を一歩引いた位置から見守る同伴者。小・中・高校のPTA的な一体感とは異なり、個々の家庭の品格や自立心が試される場だからこそ、「品があり、目立たず、清潔感があること」が絶対的な共通言語となる。