SNSや知恵袋、大手Q&Aサイトをリサーチすると、花粉シーズンになると「ロキソニンを飲んだのに頭痛が全く消えない」「熱っぽくて風邪か花粉症か判断がつかない」といった悲痛な叫びが溢れ返っています。医療現場を取材すると、ここには患者の思い込みと実際の身体メカニズムの間に大きなギャップが存在することが分かります。
「普段の頭痛なら鎮痛薬ですぐ治るのに、春先の頭痛だけは薬が効かない」と語る30代女性は、毎日のように市販の解熱鎮痛薬を規定量以上服用していました。しかし、受診した耳鼻咽喉科で下された診断は「重度の急性副鼻腔炎」。鼻の奥が完全に腫れ塞がり、副鼻腔内に溜まった浸出液が骨を圧迫していたため、中枢神経に作用する鎮痛薬だけでは物理的な内圧上昇を解消できなかったのです。
また、花粉症頭痛薬ロキソニン併用に関する疑問も現場に多く寄せられています。基本的にロキソプロフェン(ロキソニン等)やアセトアミノフェンと、第二世代抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジンやセチリジン等)の併用自体は薬理学的に禁忌ではありません。しかし、自己判断で市販薬を重ねて飲むことには落とし穴があります。一部の総合鼻炎薬にはすでに鎮痛成分やカフェインが含まれており、そこへさらにロキソニンを追加すると過剰投与になり、胃粘膜障害や腎機能への負担を引き起こします。
さらに、見過ごせないのが抗ヒスタミン薬の副作用による二次的頭痛です。花粉症薬を飲んだ後に感じる「頭が重い」「ボーッとして締め付けられる」という不快感は、薬剤が中枢神経(脳)のヒスタミン受容体をブロックすることで生じる「インペアード・パフォーマンス(脳機能の鈍化)」であるケースが少なくありません。頭痛を治そうと飲んだアレルギー薬そのものが、薬理的な頭重感を作り出しているという皮肉な実態が存在します。