枕を外して就寝した際、体内ではどのような不調の連鎖が起きているのでしょうか。解剖学的なメカニズムを紐解くと、4つの明確な危険因子が存在します。
第1に、僧帽筋(そうぼうきん)と肩甲挙筋(けんこうきょきん)の異常緊張による肩こりと頭痛です。敷寝具と首の間に生じる「すき間」を埋める支えがないため、首周辺の筋肉が一晩中頭部を固定しようと緊張し続けます。この筋膜の緊張が後頭部を走る大後頭神経を圧迫し、締め付けられるような筋緊張型頭痛へと発展します。
第2に、重力バランスの崩壊による顔のむくみです。通常、枕があることで頭部は心臓よりもわずかに高い位置に保たれ、血液やリンパ液の静脈還流がスムーズに行われます。しかし枕を外すと頭部が水平、あるいは敷布団の沈み込みによって心臓より低くなる時間帯が生じます。行き場を失った水分が顔面の皮下組織に停滞し、朝起きたときの強い腫れぼったさやむくみを引き起こします。
第3に、舌根沈下によるいびきと呼吸器系への悪影響です。首が反ると下顎が後方へ落ち込みやすくなり、気道が物理的に狭まります。睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高めるだけでなく、血中酸素濃度の低下を招き、熟睡感を著しく奪います。
第4に、骨盤と腰椎の代償運動による腰痛の悪化です。首が過剰に反ると、人間の背骨全体はS字カーブを保とうとして腰椎を反らせる連鎖反応(代償運動)を起こします。反り腰の傾向がある人が枕なしで寝ると、腰とマットレスの間に大きな隙間が生じ、腰椎に体重の負荷が集中して激痛を招くことになります。