旧本坂トンネルは、1915年(大正4年)に本坂道開通のために竣工した歴史的土木遺産です。全長約70メートルと短いトンネルですが、当時の技術水準では硬い岩盤を手掘りやダイナマイトで切り開く作業は命がけでした。
過酷な工事現場では労働者の事故死や負傷が日常茶飯事であり、落盤事故などの悲劇も記録されています。また、昭和中期から後期にかけてモータリゼーションが進むと、狭隘で見通しの悪い旧道区間では重大な交通事故が度々発生しました。暗く狭い坑内での正面衝突や、峠道での転落事故といった生々しい事件・事故の記憶が、オカルト的な噂をさらに補強していったのは間違いありません。