近年、耳鼻咽喉科のクリニックを訪れる患者の中で急増しているのが、長時間のイヤホン装着をきっかけとした耳のトラブルです。特に密閉性の高いカナル型イヤホンやノイズキャンセリング機能を日常的に愛用する層から、異臭や不快感を訴える声が後を絶ちません。
大手ネット掲示板やSNS、知恵袋などのコミュニティを調査すると、当事者たちの切実なリアルが浮き彫りになります。
「一日中テレワークでイヤホンをつけっぱなしにしていたら、外したときにチーズが腐ったような強烈な臭いがしてショックを受けた」(30代・IT企業勤務)
「耳の中がムズムズして綿棒で毎日掃除していたら、黄色いドロっとした液が綿棒にべっとり付くようになり、ツンと酸っぱい悪臭が取れなくなった」(20代・学生)
耳鼻咽喉科専門医の臨床レポートによると、外耳道は完全に密閉されると湿度が80%以上に達し、温度も急上昇します。この高温多湿な密閉空間は、細菌だけでなく「真菌(カビの一種であるアスペルギルスやカンジダ)」にとって絶好の繁殖環境です。「外耳道真菌症」に進行すると、耳の中に白や黒のカビの塊が生え、激しいかゆみとともに特有の饐(す)えたカビ臭や納豆のような悪臭を放つようになります。毎日の何気ない習慣が、知らぬ間に耳の中をカビの温床へと変えてしまっているのです。