どれほど優れた乗り物であっても、すべての要求を満たす完璧な工業製品は存在しません。購入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、250ccATバイクメリットデメリットの影の部分にも冷徹に光を当てる必要があります。
最大の盲点は「車重」と「足つき性」です。カタログデータ上では180kg台前半と、400ccネイキッドと同等の重量があります。さらに、シート下スペースを確保するために車体幅が広げられており、足を地面にまっすぐ下ろすことができません。シート高自体は780mm〜795mm前後と標準的な数値に見えますが、幅広なシート形状のために実質的な足つき性はスーパースポーツ以上に厳しいと感じるライダーが少なくありません。
「取り回しが重く、下り坂の行き止まりに頭から突っ込んでしまってバックできなくなった」「立ちゴケしそうになった際、車体の幅が広くて踏ん張りが効かなかった」というトラブルは、初心者が最も陥りやすい落とし穴です。
もうひとつの注意点は、駆動系のメンテナンスコストです。チェーンドライブのMT車と異なり、スクーターはVベルトとウエイトローラーによる無段変速機(CVT)を密閉ケース内に備えています。走行2万km前後でベルトやウエイトローラーの定期交換が必須となり、これには部品代と工賃を合わせて3万〜5万円前後の出費が伴います。チェーンのように日頃の目視点検が難しく、交換を怠ると高速道路走行中に突然ベルトが破断して走行不能に陥る危険があるため、計画的な点検管理が求められます。
一方で、250ccスクーター高速道路ツーリングにおける実力はネット上の噂以上に優れています。「250ccスクーターは高速道路で風に煽られて怖い」という意見が散見されますが、これは低重心設計がなされた現行モデルには当てはまりません。車体下部に重量物が集中しているため、80〜100km/hでの直進安定性は非常に高く、大型スクリーンによる防風効果と相まって、同排気量のネイキッドバイクよりもはるかに疲労度が少なく長距離を移動できます。