電験一種が「国家資格の最高峰」と呼ばれる最大の理由は、母集団の極端な質の高さにあります。誰でも記念受験できる資格とは異なり、電験一種の受験者はすでに電験三種や電験二種を血のにじむような努力で突破したベテラン技術者、あるいは東京大学や京都大学などの理工系学部・大学院出身者が大半を占めています。そうした精鋭たちがしのぎを削りながらも、最終関門である二次試験の合格率は毎年10%〜15%前後を推移し、一次試験からのストレート合格率はわずか3%〜5%台に沈むのが通例です。
資格試験の難易度を指標化した各種の偏差値ランキングにおいて、電験一種は概ね「偏差値70〜73」と格付けされています。これは技術系最難関の技術士(総合技術監理部門/電気電子部門)や文系の最高峰である司法試験、公認会計士、医師国家試験(選抜性の観点)に匹敵する序列です。特に一次試験が四肢択一のマークシート形式であるのに対し、二次試験は白紙の答案用紙に思考のプロセスと計算過程をすべて記述させる論文形式であり、部分点を拾い集めなければ合格基準である60%に到底届かない採点基準の厳格さが、数字以上の威圧感を生み出しています。
近年の電験一種における合格率推移を振り返ると、一次試験は年度によって20〜30%台で推移するものの、二次試験は厳格な相対評価に近い水準でコントロールされており、合格者数は全国でわずか100人〜150人前後に絞り込まれます。少子高齢化に伴う技術者不足が叫ばれる電気業界においてなお、一種の合格基準が一切緩和されない背景には、「国家の基幹エネルギー系統を預かる最後の砦」としての保安基準を何としても死守するという経済産業省および試験センターの強固な意図が読み取れます。