衛兵交代式を巡っては、インターネット上に古い情報や誤解が氾濫しています。その最たるものが「雨天時の対応」と「開催スケジュール」です。
まず警戒すべきは雨天中止(Wet Weather Cancellation)のシビアさです。近衛兵が着用する伝統の熊皮帽は本物のクマの毛皮で作られており、水を含んで濡れると著しく型崩れし重量が増加します。また、金管楽器や打楽器への雨水侵入を防ぐ観点からも、ロンドンでは「小雨程度」であっても容赦なく式典が中止、もしくは行進なしの簡素な交代(インドア・チェンジ)に変更されます。
中止の決定が下されるのは、多くの場合当日の午前10時15分〜10時30分頃です。雨が降るか微妙な曇天の朝、1時間以上待機した末に直前で中止の看板が出され、現場に落胆のため息が広がる光景はロンドンの日常茶飯事です。中止の有無を確認する最も確実な手段は、英陸軍公式の近衛師団情報アカウント(英国陸軍公式ウェブサイト「The Household Division」や公式X @Householddiv)の当日朝のポストをチェックすることです。公式発表なしに民間サイトの古い時刻表を信じるのは危険を伴います。
また、バッキンガム宮殿の衛兵交代式の日程に関しても注意が必要です。「毎日行われている」と誤認している観光客が少なくありませんが、近年の基本スケジュールは月曜日・水曜日・金曜日・日曜日(週4回開催)が標準となっており、夏季の繁忙期に限り連日開催される年もあります。訪問前には必ず公式スケジュールで当日の実施有無を確認してください。
さらに「チケットが必要」「優先席がある」と謳う非公式ツアーや悪質なチケット仲介サイトが存在しますが、衛兵交代式の観覧は完全無料であり、宮殿外周に予約席などは存在しません。高額な入場券詐欺に巻き込まれないよう自衛が必要です。