それにもかかわらず、SNSやジムの更衣室で「水素水を飲むようになってからトレーニング後半の粘りが利く」「翌日の身体のダルさが軽くなった」と絶賛する利用者が一定数存在するのはなぜでしょうか。この現象の背景には、スポーツ心理学における強力なプラセボ(偽薬)効果と、副次的な行動変容が複雑に絡み合っています。
第一に、「専用の高性能サーバーから注がれた特別な水」を飲んでいるという認知自体が、中枢神経系にポジティブな暗示を与えます。スポーツ科学の二重盲検実験でも、単なる生理食塩水を「最新の疲労回復アミノ酸溶液」と伝えられて摂取したアスリートの主観的運動強度(RPE)が有意に低下し、挙上回数が伸びるという事例は枚挙にいとまがありません。特別な水を飲んでいるという自己効力感が、トレーニングのモチベーションを高めるトリガーとして機能している側面は否定できません。
第二に、より本質的な要因として絶対的な水分摂取量の増加が挙げられます。パーソナルジム「Dr.トレーニング」の指導現場などでも指摘される通り、多くのトレーニーは日常的に慢性的な水分不足に陥っています。筋肉の約75%は水分で構成されており、わずか1〜2%の水分喪失でも筋力発揮や持久力は大幅に低下します。月額オプションを契約したことで、「元を取ろう」と意識的にインターバル中やトレーニング前後にこまめに給水を行うようになれば、水素の分子効果云々以前に、適切な水分補給によって血流が保持され、筋疲労の代謝産物の排出がスムーズになるのは生理学的に必然の結果です。