小籔千豊が吉本新喜劇にもたらした変革を理解するには、その足跡を振り返る必要があります。漫才コンビ「ビリジアン」解散後、2001年に新喜劇へ入団した小籔は、持ち前の毒舌と卓越した演技力で頭角を現し、入団からわずか約4年半という前代未聞のスピードで第16代座長に就任しました。当時の吉本新喜劇は、内場勝則、辻本茂雄、石田靖といった偉大な先輩たちが築いた強固な黄金期にあり、30代前半の若手が座長に就くことは極めて異例の抜擢でした。
吉本新喜劇の歴代座長年表において、小籔千豊の立ち位置は「伝統の継承者」であると同時に「強烈な破壊と創造をもたらした改革者」でした。関西のベタなお笑いというパブリックイメージが根強かった新喜劇に、鋭利なシニシズムと緻密なストーリーテリングを持ち込み、東京のキー局やカルチャー界隈にも通用する洗練されたコンテンツへとアップデートした手腕は特筆に値します。