抜歯を終えた直後、空腹を感じていても「麻酔が完全に切れるまで食事は一切口にしない」ことが医学的な絶対原則です。局所麻酔(浸潤麻酔や下顎孔伝達麻酔)の効果は、一般的に処置後2〜3時間、下顎の埋伏歯などで強い麻酔を用いた場合は4〜6時間程度持続します。
麻酔が効いている最中に食事をとることには、極めて深刻なリスクが潜んでいます。知覚が完全に遮断されているため、咀嚼の際に自分の頬の内側や舌を力任せに噛み切ってしまい、麻酔が切れた後に激しい潰瘍や大出血に見舞われるトラブルが後を絶ちません。また、温度感覚も麻痺しているため、温かいスープや茶を口にして咽頭や口腔粘膜に重度の火傷を負う事例も報告されています。
水分補給に関しては、うがいを伴わない形であれば術後でも可能ですが、食事に関しては「唇や舌を軽く触って感覚が100%戻った」と確信できるまで待機してください。空腹で体力が落ちるのを防ぎたい場合は、抜歯の予約時間の約1時間半〜2時間前までに軽食を済ませておくのが臨床現場でも推奨される防衛策です。