保険相談窓口や大手SNS、Q&Aサイトには、毎月のように「睡眠時無呼吸症候群で給付金が出なかった」という怒りや落胆の声が投稿されています。現場の査定実務に精通する専門職の分析や取材データを突き合わせると、そこには制度への誤解と「請求コストの逆転現象」という2つの落とし穴が存在することが浮き彫りになります。
ネット上のコミュニティで頻繁に見られるのが、「毎月5,000円近く払っているCPAPのレンタル代が1年分たまれば6万円。医療保険から少しでも戻ってくると思っていたのに、窓口で門前払いされた」というケースです。前述の通り、CPAP治療は公的医療保険(健康保険)の3割負担は適用されますが、民間医療保険の通院保障の要件を満たさないことがほとんどです。「健康保険が利く=生命保険から給付金が出る」と無意識に混同してしまうことが、失望を生む主因となっています。
もう一つの見落とせない罠が、診断書取得費用による費用の逆転です。PSG検査入院で1泊2日の給付金を請求しようとする際、保険会社所定の医師の診断書(相場:5,500円〜11,000円程度)の提出を求められるケースがあります。仮に入院給付金が「日額5,000円」の契約だった場合、2日分の入院給付金は10,000円です。そこから診断書発行費用を差し引くと、手元に残る金額は数千円、場合によってはマイナスになってしまう計算になります。
ただし、現在の保険実務ではDX化が急速に進展しています。多くの生命保険会社において、数日程度の短期入院であれば「医療機関の発行した領収書」および「診療明細書(検査名や入院料が記載されたもの)」のスマートフォン撮影・アップロードのみで請求が完結するWEB簡易請求が定着しています。診断書代をかけずに数万円の一時金を満額受け取るためには、請求前に「診断書なしでの領収書請求が可能かどうか」をマイページやコールセンターで必ず確認することが鉄則です。