小田和正のコンサートにおいて、座席価値を決定づける最大の変数が「小田和正ライブ花道レイアウト」です。一般的なアリーナ公演では、メインステージから中央に向けて1本のセンターステージが突き出る形式が標準的ですが、小田和正のチームが組む設計は全く異なります。
アリーナの外周をぐるりと一周する巨大なオーバル型(楕円状)の花道に加え、アリーナ中央を十字または8の字型に貫く渡り通路が張り巡らされます。舞台監督やツアークルーの手記によれば、この設計思想の根底にあるのは「会場の一番後ろ、一番遠い席に座っている観客のすぐそばまで自分の足で歌いに行く」という、オフコース時代からの徹底した現場主義です。
このレイアウトにより、アリーナ席は複数の小さなブロックへと細分化されます。メインステージから物理的に50メートル以上離れた後方ブロックであっても、すぐ真横を花道が通るため、「目の前わずか1.5メートルの距離を小田和正が歌いながら駆け抜けていく」という信じがたい瞬間が幾度も訪れます。巨大会場でありながら、小劇場のような密密な親密感を生み出す舞台美術の勝利といえます。