ネット上のコミュニティやサロンのレビューを精査すると、「憧れて体験したものの、翌日から寝込んでしまった」という切実な書き込みが散見されます。代替医療のポータルサイトや臨床現場の専門家も指摘するように、アーユルヴェーダが合わない理由には、単なる個人の好悪を超えた明確な身体的・環境的背景が存在します。
最大の障壁となっているのが、アーユルヴェーダと日本の気候・湿気の根本的なミスマッチです。アーユルヴェーダが体系化された北西インドなどの地域は、年間を通じて乾燥が激しく、強烈な太陽光が大地を照りつける気候風土を持っています。そうした乾ききった身体に濃厚なごま油(セサミオイル)を浸透させ、毛穴から滋養を届けるアプローチは極めて理にかなっています。しかし、周囲を海に囲まれ、年間を通じて湿度が高い島国・日本において同じ量の重厚なオイルを塗り込めば、皮膚呼吸が妨げられ、体内に余剰な熱や水分がこもってしまいます。
二つ目の理由は、アーユルヴェーダで最も重視される消化力(アグニ)の強度差です。インドの伝統的な生活様式では、強烈なスパイスの刺激と暑さに耐えうる強靭な胃腸の火(アグニ)が前提とされています。対して、海藻や魚、発酵食品を主食として穏やかな消化活動を行ってきた日本人は、消化酵素の分泌量や腸内細菌叢のバランスが大きく異なります。消化力が弱まっている状態で濃厚な油分や大量のスパイスを摂取すれば、毒素(アーマ)を排泄するどころか、胃腸に過度な負担をかけて内臓疲労を招く結果となります。
そして三つ目が、手に入る食材や生活リズムの文化的乖離です。手に入りにくい本場のハーブや未精製のギーを無理に揃え、慣れない生活規範に縛られること自体が精神的なストレスとなり、ドーシャ(生体エネルギー)のバランスをかえって崩してしまう本末転倒な事態が起きているのです。