大結節損傷を経験した患者の手記や回復記録、医療コミュニティに寄せられる生の声をつぶさに検証すると、骨折そのものの痛み以上に「その後のリハビリ期に生じる精神的・肉体的苦痛」に対する訴えが圧倒的多数を占めています。
「三角巾を外した日、主治医から『今日から腕を上げていいですよ』と言われたが、自分の腕がまるで鉛の塊のように重く、10度上げるだけで激痛が走って涙が出た」(40代・ロードバイク事故患者の記録)
「夜間痛が2ヶ月近く続き、寝返りを打つたびに激痛で飛び起きるため不眠症になった。骨がくっついたと告げられても痛みが消えず、本当に元に戻るのか絶望的な焦りを感じた」(50代・階段踏み外し事故の手記)
リハビリを担当する理学療法士の臨床証言でも、「骨癒合(Bone union)の完了=治癒」と誤認している患者が極めて多い実態が浮き彫りになっています。骨が接着することは単なるスタートラインに過ぎず、癒着した肩峰下滑液包を剥離し、硬化した関節包を伸ばすリハビリテーションの過程には相応の痛みが伴います。「動かして痛むのは骨がズレているからではないか」という不安から運動を自己判断で中断してしまう患者ほど、関節拘縮という上腕骨大結節骨折の後遺症と予後の悪化に直面しやすいという皮肉な現実が存在します。