尾畠春夫さんの存在が一躍全国区となったのは、2018年8月に山口県周防大島町で起きた行方不明男児の救出劇でした。当時2歳だった藤本理稀(よしき)ちゃんが山中で行方不明となり、警察や消防が連日捜索しても手掛かりがつかめない中、尾畠さんは大分から軽自動車で単身駆けつけました。
長年の山歩きや捜索ボランティアの経験から「子どもは上に登る習性がある」と直感した尾畠さんは、山道を登り始めてから捜索開始わずか約30分で男児を発見。自ら抱きかかえて無事に家族の元へと送り届けました。
この救出劇で最も世間を驚かせたのは、発見後の尾畠さんの態度でした。「お母さんに直接手渡すと約束した」と語り、警察への引き渡しを丁重に断って母親の腕へ直に届けた筋の通し方、さらに地元自治体からの表彰や金銭的な謝礼を「ボランティアで来ているのだから」とすべて辞退した姿勢が、日本中に大きな感銘を与えたのです。