言葉の土台となる「虚心」は、古代中国の道家思想の代表的文献である『老子』や『荘子』にルーツを持ちます。『老子』第十六章にある「虚を致すこと極まり、静を守ること篤し」という教えは、心を無にして静寂を保つことこそが万物の真理を捉える道であると説いています。
一方の「坦懐」は、中国の詩文や唐宋八大家の文章などで、広く平らかな心境を称える表現として定着しました。平坦で広い道を意味する「坦途」と同じ語源を持ち、険しいわだかまりのない胸中を形容しています。
これら2つの概念が合わさり、中国の歴史書や近世の漢学を通じて日本へと伝わりました。物事をありのままに観察し、私心なく大所高所から判断するための規範として、知識人や武士道、近代の実業家たちに受け継がれてきた歴史があります。