石原さとみが瑞々しく演じたヒロイン・夏井真琴は、東京大学理学部という高学歴でありながら、要領が悪く就職活動で連敗続きの女子大生。東大生としてのプライドと、内定がゼロという厳しい現実の狭間で思い悩む姿は、多くの視聴者の共感を呼びました。
物語序盤の最大の転換点となったのが、ネクスト・イノベーションの会社説明会でのシーンです。就活生を見下すような態度をとる日向徹に対し、真琴は日向の生き別れの母親の名前である「澤木千尋」を咄嗟に名乗ってしまいます。この偽名を使った理由は、かつて地元で出会った本物の澤木千尋から日向の話を聞いていた真琴が、「日向に自分の存在を強く印象づけ、会社に食い込みたい」という切迫した思いと、「母親を探し続けている孤独な日向の力になりたい」という複雑な感情が入り混じった衝動的な行動でした。
心因性認識不全症候群により人の顔と名前を覚えられない日向が、唯一忘れられなかった名前が「澤木千尋」。この嘘から始まった歪な関係が、やがて二人の運命を大きく動かしていくスリリングな伏線として機能しています。