フルCG技術が当たり前となった現代の映画業界において、あえてアナログな実物造形が見直される現象が起きている。ハリウッドのトップ監督たちが口をそろえて「実物の怪獣にはCGにない存在感と陰影がある」と語るのは決して偶然ではない。
粘土を削り、ラテックスを塗り重ねて作られた造形物には、光の反射や物理的な重みが自然に宿る。デジタル処理では再現しきれない手仕事の温もりと微小な歪みこそが、架空の怪物に「実在感」を与えていた。八木勲が追求した「生きた造形」の本質は、ハイテク時代のクリエイターたちにとっても究極の手本であり続けている。