なぜ、特定の失言や報道ばかりが急激に火ダルマとなり、取り返しのつかない大炎上へと発展するのか。「狙って作られている側面がある」と語るのは、大手制作会社で民放各局の番組を手がける40代のディレクターA氏だ。内部から漏れ聞こえる声は、我々が日常的に目にする報道の裏側で、極めて計算された仕掛けが動いていることを示唆している。
「正直に言えば、平穏で建設的な議論よりも、視聴者が『痛い』『あり得ない』と感情を逆なでされるコンテンツの方が桁違いに数字が取れる。制作現場の内部会議では、どのタレントのどの発言を切り取ればX(旧Twitter)で拡散されるか、放送前からシミュレーションが行われているのが実態だ」とA氏は明かす。リークされたある情報番組の構成指示書には、コメンテーターの極端な意見を敢えて煽るようなテロップ配置や、SNSでの物議を意図的に誘導するタイムライン構成が緻密に記されていた。
こうした炎上誘導の手法は、ネットユーザーの「正義感」や「嘲笑欲求」を巧みに利用する。一見すると偶然の事故や個人の暴走に見える騒動の多くが、実はメディア側の数値至上主義と視聴者の怒りの反応が生み出した「共犯関係」の産物なのだ。