さつま揚げやごぼう天などの揚げ練り物の表面には、製造時に付着した植物油の膜が存在する。この油膜がバリアとなり、せっかく引いた昆布や鰹節の旨味が内部へ染み込むのを防いでしまう。日本おでん協会の関係者も指摘するように、丁寧な油抜きはスープの透明感を保つだけでなく、出汁と魚肉のすり身を一体化させるための必須プロセスなのだ。
油抜きを怠ると、煮立てるうちに油が汁へ溶け出し、重たくくどい後味になってしまう。一方で、不要な油脂を落とした具材は、鍋の火を止めて冷ましていく過程で出汁をギュッと内部に吸い上げる。熱を入れる時間と冷ます時間の緩急こそが、家のおでんを飛躍的に格上げする秘訣と言える。