「オレンジ」は、歌い手の性別によって物語の見え方がドラマチックに変化する点も大きな魅力です。
女性歌手によるカバーの代表格が、カバー曲の名手として名高いMs.OOJAです。彼女のバージョンは、包み込むような低音の響きとシルキーな高音が特徴で、失恋の悲哀を優しく包み込むような大人のバラードへと昇華されています。女性目線で歌われることで、歌詞に描かれた「夕暮れのバス停」や「最後の笑顔」の情景がより柔らかな光を帯びて響きます。また、圧倒的な歌唱力を持つBeverlyもハイトーンを生かした伸びやかなカバーを披露しており、女性ボーカリストによる名演は枚挙に暇がありません。
対する男性アーティスト陣は、原曲の持つ等身大の男性像に寄り添いながら独自の解釈を提示しています。クリス・ハートは、澄み切ったウィスパーボイスと豊かな表現力で言葉の一つひとつを丁寧に紡ぎ、外国人シンガーでありながら日本語の持つ情緒を完璧に表現しました。さらに、シンガーソングライターの川崎鷹也は、トレードマークであるアコースティックギターの爪弾きとともに、まるで隣で語りかけるような素朴で温かい歌唱を披露し、多くのリスナーの共感を呼びました。