長年、理想の漫画家夫婦と目されてきた二人だったが、子供たちが独立した2010年代以降、メディアで「別居」や「卒婚」の文字が踊るようになる。一部の週刊誌では夫婦危機の噂すら囁かれた。だが、その真相はドロドロとした不和とは程遠い、極めて理知的なライフスタイルの選択であった。
弘兼は仕事に没頭できる執務環境を求め、柴門は自分のペースで生活を整えるため、あえて生活拠点を分ける決断をした。お互いがストレスなく創作と生活を両立させるための「快適な距離感」を追求した結果が、別居という形だったのだ。柴門自身もエッセイなどで、年齢を重ねた夫婦における自立の重要性を度々語っている。