ビジネスシーンで「水泡に帰す」を使う際、知らず知らずのうちに恥ずかしい誤用を犯しているケースは少なくない。典型的な間違いとしては、「水泡に化す」や「水泡に化する」、あるいは送り仮名を間違えて「水泡に帰する」と誤表記してしまうパターンだ。「帰す」はサ行変格活用ではなく五段活用(またはサ行変格活用「帰する」と混同されがちだが、一般的には「帰す」)であり、正しくは「水泡に帰した」「水泡に帰す」と用いる。
また、ごく軽微な失敗や簡単にやり直せる作業に対して使うのも不自然だ。命取りとなるような重大な損失や、長年の積錬が無になった局面で使ってこそ、ビジネス日本語としての威力を発揮する。現場でそのまま使える正しい実践例を以下に挙げる。
・「想定外の法改正により、我が社が3年をかけて準備してきた新規参入計画は一瞬にして水泡に帰す危険性に直面した。」
・「セキュリティ対策の不備によって顧客データを流出させてしまえば、これまでに築き上げた企業の社会的信用は完全に水泡に帰す。」
・「競合他社との土壇場での価格競争に敗れ、チーム全員の数ヶ月に及ぶ努力が水泡に帰した悔しさを糧に、次期プロジェクトに挑む。」