料理の主役である「そば」のクオリティもまた妥協がない。特に有名なのが、根っこまで贅沢に使った冬から春先にかけての「せり蕎麦(せりせいろ)」だ。シャキシャキとした食感と鮮烈な香りが、風味豊かな手打ちそばと濃厚なつゆに見事に調和する。一口手繰れば、口いっぱいに春の芽吹きが広がる名物料理だ。
さらに秋には松茸、初夏には鮎や鱧など、日本の四季をそのままどんぶりに表現したかのような季節限定メニューが目白押しだ。喉ごしの良いそばと出汁のバランスは絶妙で、どれだけ酒を飲んだ後でもすんなりと胃に収まるから不思議である。