ネット上のレシピやSNSの書き込みでは「魚はすべて皮から焼くべき」「蓋はずっと閉めておくべき」といった画一的な情報が散見されますが、これは調理上の大きな落とし穴です。
干物と生魚では身の保水構造が全く異なります。干物はすでに水分が抜けて凝縮しているため、皮から先に強火で熱すると皮が縮んで反り返り、中央の身がフライパン底面から浮いて熱ムラが生じます。だからこそ干物は「身から」焼いて平らな接地面積を確保するのが物理的な正解です。
また、「蓋の開け閉めのタイミング」も仕上がりを左右します。最初から最後まで蓋をし続けると、蒸気によって皮が水気を吸い、グニャリとした不快な食感になってしまいます。「蒸し焼きで火を通す段階=蓋をする」「仕上げの皮焼き=蓋を外して水蒸気を逃がす」という二段階のアクションが、専門店の炭火焼きに近いコントラストを生み出します。