本作の代名詞とも言えるのが、第1話から張り巡らされた「あかつき号事件」を巡る巨大なミステリーです。海上暴風雨の中で起きた旅客船あかつき号の遭難事故、そこに乗り合わせていた乗客たちの変死、そして翔一の記憶喪失の理由が、終盤に向けてパズルのピースのように嵌まっていく構成は圧巻でした。
物語のクライマックスにおいて、人類の創造主である「闇の力」は、人類が進化しアギトとなり続ける未来を絶望視し、人類そのものを滅ぼそうとします。しかし、津上翔一は自らの力で神の一撃を跳ね返し、こう宣言します。「アギトは人間のためにある、人間自身の力だ」と。
最終回で描かれた結末は、世界を救ったヒーローが特別な存在として君臨するのではなく、一人の市井の人間としてレストラン「AGITO」を開き、日常へ帰還していく姿でした。このラストシーンが持つ爽快感と余韻は、SNSや特撮ファンコミュニティにおいて「平成ライダー史上最も美しい最終回の一つ」として今も語り継がれています。