焼き上がった肉をフライパンから下ろし、すぐに包丁を入れてしまってはこれまでの努力が水泡に帰します。まな板の上に大量の赤い肉汁が溢れ出てしまった経験は誰しもあるはずです。この現象は、加熱によって収縮した筋肉繊維が中心部へ水分を押し出し、高い圧力状態で肉汁が閉じ込められているために起こります。
ここで必須となるのが、ステーキをアルミホイルの余熱で休ませる技術です。
加熱を終えた肉をすばやく2重にしたアルミホイルでふんわりと包み込み、温かい場所で「焼いた時間と同等(約3〜5分)」放置します。ホイルの中で肉の中心温度が緩やかに上昇しながら熱が均一に行き渡ると、収縮していた筋肉繊維が徐々に弛緩(リラックス)し、中心に偏っていた肉汁が細胞全体へと再び再吸収されます。
このレスティング(休ませ)を経ることで、ナイフを入れた瞬間に肉汁がまな板へ流出することなく、噛み締めたときに口内いっぱいに広がる極上のジューシーさが保たれます。脂身の少ない赤身肉のステーキ焼き方においては、この余熱調理の精度がパサつきを防ぐ生命線となります。