2019年7月25日。岩手県大会決勝、花巻東高校戦。勝てば甲子園という大一番で、エース佐々木朗希の名前はスターティングメンバーになかった。前日の準決勝で129球を投げ抜いた彼の体を考慮し、監督が下した判断は「登板回避」だった。
試合は完敗。大船渡の甲子園の夢は潰えた。学校には「なぜ投げさせないのか」「一生に一度の舞台を奪うな」といった非難の電話が殺到した。テレビのワイドショーも連日この話題を取り上げ、日本中がこの決断の是非を巡って真っ二つに割れた。当の本人は、ベンチで静かに戦況を見つめるしかなかった。