「朝に最高スペックの日焼け止めを塗ったのに、夕方には日焼けしていた」という悲鳴が後を絶ちません。なぜ規定の防御効果が得られないのか、皮膚科専門医や化粧品開発者の知見から浮かび上がる焼けてしまう決定的な理由は以下の3点に集約されます。
第一の理由は、圧倒的な塗布量不足です。国際基準(ISO規格)で定められたSPF測定時の塗布量は、皮膚1平方センチメートルあたり「2.0mg」です。これは顔全体で500円玉大(クリーム状ならパール粒2個分以上)に相当します。しかし、実態調査では多くのユーザーがその「半分から3分の1程度」しか塗っておらず、これではSPF50+の製品であっても実質的な防御効果はSPF10〜15程度まで激減してしまいます。
第二の理由は、塗布時の摩擦による塗りムラと隙間です。手のひらですり合わせるように強く塗り広げると、肌のキメや毛穴の凹凸に均一に行き渡らず、薄い部分から紫外線が侵入します。スタンプを押すように点置きし、指の腹で優しく均一になじませるプロの手順を守らなければ、隙間だらけの防御膜になってしまいます。
第三の理由は、皮脂分泌と不随意な接触による被膜の物理的崩壊です。人間は無意識のうちに1時間に平均十数回以上も顔に触れています。皮脂と混ざり合った日焼け止めは、指先やスマートフォン画面との接触によって簡単に削り取られてしまうため、膜の連続性が失われてしまいます。