旭山動物園の代名詞ともいえるのが、冬の風物詩ペンギンの散歩です。雪が積もる12月中旬から3月下旬にかけて実施されるこの行事は、見世物として始まったものではありません。冬の間に運動不足になりがちなペンギンたちの健康管理と、足腰の運動のために考案された取り組みです。
散歩のルート沿いには大勢の観光客が並びますが、飼育員の指示を守り、一定の境界線を保ちながら見守るルールが徹底されています。キングペンギンたちが首を振りながら雪上をよちよちと行進し、ときには腹ばいになってソリのように滑る愛らしい姿は、厳しい冬の旭川でしか味わえない格別の情緒を醸し出しています。
もう一つの目玉であるもぐもぐタイムの開催時間は、あらかじめ固定されていません。動物の健康状態や当日の天候に合わせて毎朝飼育員が協議し、午前9時50分頃(冬期は10時過ぎ)に園内の掲示板や公式ポータル上で発表されます。エサを食べる瞬間のダイナミックな動きはもちろん、マイクを手にした飼育員が語る「その動物が直面している地球環境の課題」に耳を傾けることで、展示の真意が心に深く刻まれます。
さらに、画期的な展示として名高いほっきょくぐま館とあざらし館も見逃せません。「あざらし館」に設置された垂直の円柱水槽(マリンウェイ)をアザラシがスイスイと泳ぎ抜ける瞬間や、「ほっきょくぐま館」で巨大なホッキョクグマがプールに飛び込む姿を下から見上げる巨大カプセル(シールズアイ)など、獲物と捕食者の視点を逆転させた心理的仕掛けが見事に機能しています。