冷たいラーメンを作る上で、最大の障壁となるのが「油の凝固」である。動物性の脂は温度が下がると白く固まり、口当たりが悪くなる。この物理的な限界を突破したのが、栄屋本店の職人技だ。
彼らは牛骨やかつお節などから丁寧に取った出汁に、独自の配合で植物性オイルをブレンドしている。これにより、スープに氷を浮かべても油が固まらず、すっきりとした口当たりと豊かなコクを両立させている。器が運ばれてきた瞬間、氷がカランと音を立てる。スープを一口すすると、冷たさの後に芳醇な旨味が広がり、決して水っぽさを感じさせない。この絶妙なバランスこそが、長年真似できないとされる理由だ。