「たいと」という漢字を目にしたことがある人はどれだけいるでしょうか。上部に「雲」が三つ、下部に「龍」が三つ。もはや文字というよりは、緻密に描かれた紋様か、あるいは何かの結界のようにも見えます。
日本人の苗字として実在したという説がありますが、戸籍謄本での確実な使用例は見つかっていません。昭和初期の証券会社にこの苗字を持つ人物がいたという都市伝説めいた噂が、文字のロマンをさらに掻き立てます。書くだけでペン先が潰れ、ゲシュタルト崩壊を引き起こすこの文字は、長年「実用性ゼロの奇妙な記号」として片付けられてきました。