日本サッカー史における最大のハイライトの一つが、2010年南アフリカW杯オランダ戦です。初戦のカメルーン戦を1-0でものにし、勢いに乗って迎えた第2戦。日本は強固な守備ブロックを敷き、優勝候補の一角であったオランダのパスワークを徹底的に分断しました。
試合を決定づけたのは後半8分、稀代の司令塔ウェズレイ・スナイデルが放った強烈な無回転ミドルシュートでした。公式球ジャブラニ特有のブレ球に対し、守護神・川島永嗣が懸命に手を伸ばして弾いたものの、ボールは無情にもゴールネットを揺らしました。当時の報道や手記において、守備陣が「わずかなスペースを与えただけで仕留められる世界最高峰の決定力」に戦慄したと述懐している通り、極限の緊張感の中で奪われた1点でした。
だが、この試合の真の価値は失点後の日本のリアクションにありました。終盤にかけて投入された中村俊輔や玉田圭司を軸に攻勢を強め、岡崎慎司が放った決定的な左足シュートなど、オランダゴールを幾度となく脅かしました。枠内シュート数でもオランダの5本に対し日本は3本と食い下がり、「完敗」ではなく「互角に渡り合える手応え」を日本代表が初めて欧州最強クラスから掴み取った90分間として記憶されています。