長年親しまれたむつみ荘からの転居が決まった2019年、ファンの間で最も懸念されたのがむつみ荘家具の処分問題でした。部屋の中心に鎮座していた円形の木製ちゃぶ台は、春日が若手時代に拾ってきたとも、知人から譲り受けたとも言われる年代物です。表面には無数の傷が刻まれ、幾度となくカップ麺の汁やロケの残骸を受け止めてきた、いわばオードリーの下積み時代を象徴する聖遺物でした。
核心となるちゃぶ台の行方ですが、結婚を機に構えた新居への移送は叶いませんでした。当時放送された密着特番やオードリーのオールナイトニッポン(ニッポン放送)で語られた事実によると、妻のクミさんから「衛生面・生活空間の刷新」を理由に、むつみ荘時代の私物の大半について新居持ち込み拒否通告が下されたためです。長年染み付いた生活臭と汚れを伴う家具を新婚家庭へ持ち込むことは、現実的な生活空間の設計上、断固として認められませんでした。
そこで敢行されたのが、メディア連動型のむつみ荘引っ越し整理劇です。ちゃぶ台を含む象徴的なアイテムは、粗大ゴミとして単純廃棄されるのを免れ、番組の記念品としての保管や、ケイダッシュステージ所属の後輩芸人たちへの形見分け、さらには番組関係者の手によって慎重に引き取られました。2024年に開催され16万人を動員した東京ドームライブなどの大規模イベントにおいても、むつみ荘の部屋を再現する展示企画が実施されるなど、現物は散逸することなく、お笑い界の貴重なアーカイブ資産として厳重に管理・継承されています。