インターネット上の検索トレンドやQ&Aサイトを見ると、「柄本明は志村けんの弟子だったのか」「二人は毎晩のように酒を酌み交わす親友だったのではないか」といった推測が散見されます。しかし、これらの噂は明確な事実誤認です。
第一に、年齢は志村けんが1950年生まれ、柄本明が1948年生まれであり、学年としては柄本明が2年先輩にあたります。芸歴のスタートもほぼ同時期であり、上下関係を伴う「師弟関係」は一切存在しません。志村けんは柄本明を「日本最高峰の名優」として敬い、柄本明は志村けんを「唯一無二の喜劇の天才」として仰ぎ見ていました。
第二に、二人のプライベートにおける交友関係は、世間のイメージとは真逆に「驚くほどドライ」なものでした。志村けんといえば麻布十番などの街で夜な夜な後輩芸人やタレントと酒を飲む「志村会」が有名でしたが、柄本明がそうした飲み会に顔を出すことは基本的にありませんでした。
柄本明自身、後にテレビ番組の追悼企画などで「プライベートで二人で飲みに行ったことなんて、ほとんどないですよ」と述懐しています。仕事場を一歩離れれば、余計な私情を持ち込まない。互いの手の内を私生活で知り尽くしてしまえば、本番のカメラの前で生じる「予測不能な火花」が消えてしまうことを、プロフェッショナルとして熟知していたからです。