伍代夏子さんと杉良太郎さんの間に実子が誕生しなかった理由について、芸能界やファンの間では長年さまざまな憶測が飛び交いました。しかし、そこには女性として、そして表現者としての切実な現実と命がけの戦いがありました。
最大の要因は、伍代夏子さんが長年患っていた「C型肝炎」との壮絶な闘病です。伍代さんは33歳の時に感染が判明していましたが、歌手活動への影響を恐れて周囲には隠し続け、極秘裏に通院治療を続けていました。杉良太郎さんと結婚した37歳の段階でも病魔は体に潜み続けており、肝機能の数値悪化と常に隣り合わせの生活を送っていたのです。
2009年、伍代さんは意を決してインターフェロン投与による本格的な治療を開始しました。激しい倦怠感、発熱、全身の激痛、精神的な落ち込みなど、インターフェロン特有の苛烈な副作用に耐えながらステージに立ち続ける日々が続きました。当時の手記やインタビューで明かされた「起き上がることすら困難な苦しみ」の中で、妊娠や出産という身体的負担を選択することは医学的見地からも極めてリスクの高い決断でした。
加えて、結婚当時の年齢が37歳という晩婚であったこと、杉良太郎さん自身がすでに多忙を極める大スターであり家庭に多くの子供たちがいたことも重なり、夫婦は「二人で手を取り合い、歌と社会貢献に命を捧げる」という人生設計を共有するに至ったのです。幸いにも伍代さんは闘病の末に体内からウイルスを完全排除(著効)することに成功し、厚生労働省の肝炎対策特別大使を務めるなど、自らの経験を社会へ還元しています。