作者である山本鈴美香が成し遂げた最大の功績は、少女漫画の持つ繊細な心理描写と、スポーツ漫画特有の躍動感あふれるアクションを見事に融合させた点にある。当時の少女漫画界において、汗と泥にまみれる本格的な競技テニスをテーマに据えることは極めて異例の挑戦だった。
山本が描くコマ割りは、まるでカメラワークが生きているかのような迫力を誇る。コートを滑るラケットのスピード感、張り詰めた空気、キャラクターの視線の交錯。華やかな恋愛要素や友情を描きつつも、競技の厳しさを決して甘やかさない硬派な作風が、性別や世代を超えた広範なファン層を獲得する最大の要因となった。