フランベを確実に成功させるための物理的条件として、使用する酒類のアルコール度数は35度から40度前後が絶対的な基準となります。アルコールの沸点は約78.3度ですが、液面から十分に濃い可燃性蒸気が立ち上り、引火点(約20度〜25度)に達するためには、酒全体のアルコール濃度が一定以上でなければなりません。
一般的な清酒やワイン(12〜15度前後)、料理酒、みりんなどは水分量が多すぎるため、高温のフライパンに注いでも蒸気が薄まり、チャッカマンやガス火を近づけても炎は立ち上がりません。強引に着火しようと過剰に加熱すると、油が跳ねて火傷の原因になるだけでなく、食材の焦げ付きを招きます。
家庭でステーキを調理する際、「わざわざ製菓用のブランデーを買うべきか」と迷う場面は多いはずです。日常的にハイボールなどを嗜む家庭であれば、手元にあるウイスキーで十分に代用できます。ウイスキーはオーク樽特有のバニラ香やかすかな燻煙香を持ち、赤身肉の鉄分を含んだ旨味と極めて相性が良い酒類です。ただし、スモーキーフレーバーが強すぎるアイラモルトなどは料理の味を覆い隠してしまうため、ブレンデッドウイスキーやバーボンなど甘みのある銘柄を選ぶのが失敗を防ぐポイントです。