広告社会学およびテーマパーク経営の観点からひらパーCMを総括すると、そこには地方創生における極めて重要なレッスンが含まれています。
多くの地域創生マーケティングが陥りがちな罠は、「著名人を起用したものの、タレントの既存イメージに頼り切り、施設本来の魅力を伝えきれずに終わる」という点です。タレントが優雅に歩くだけの観光PR動画が、多額の予算をかけながら誰の記憶にも残らないのはそのためです。
対して、ひらかたパークの戦略はタレントのイメージを逆手に取り、本人すらも知らなかった「全力のナンセンス」を共創することに成功しました。これは心理学でいう「脱文脈化(ディコンテクスチュアリゼーション)」の高度な実践です。大河ドラマの主役を務める威厳ある役者を、枚方の遊園地という日常空間に引きずり込み、本人が一番楽しそうに全力疾走する。その姿に、視聴者は親近感と驚きを同時に抱きます。
【プロの判断基準】ひらかたパークCMの世界観を楽しむためのポイント
- 存分に楽しめる層:岡田准一の本格アクションや演技力を知っている人、パロディの元ネタ映画を劇場で観ている映画ファン、関西特有の「真面目にアホをやる」文化を愛せる人。現地に行けば、園内随所に散りばめられた細かな仕掛けに1日中笑わされることになります。
- 注意が必要な層:巨大なテーマパーク(USJや東京ディズニーリゾート)のような最新鋭のハイテクVRアトラクションや世界観の完全没入を求める人。ひらパーの本質は、100年以上の歴史を持つアットホームなレトロ遊園地であり、最新CMの過激な世界観と実際ののどかな園内風景とのギャップをあらかじめ理解しておくことが肝要です。