緑川の真骨頂は、主人公サイドを脅かす悪役・ライバル役の妙味にも強く現れます。正義の味方や清廉潔白な英雄を演じる一方で、彼が演じる敵役には、抗いがたい妖艶さと背筋を凍らせる冷徹さが宿ります。
たとえば『ドラゴンボール超』で演じた第11宇宙の戦士人造人間17号(ドラゴンボールZ期)や数々の劇場版ボスキャラクターなどにおいて、相手を見下す冷酷なトーンや、余裕を崩さない不気味な笑みは圧巻の一言でした。ただ怒鳴り散らすような悪役ではなく、低く静かに囁くように紡がれる脅迫は、暴力以上の恐怖を相手に植え付けます。
悪に身を染めるに至った正当性や哀哀とした過去を、台詞の節々に滲ませる芝居。それがあるからこそ、緑川が演じるライバルキャラクターは単純な「倒されるべき悪」に終わらず、時に主人公以上の人気と深い余韻を物語に残すのです。