轟焦凍を語る上で避けて通れないのが、轟焦凍の過去と家族の真相です。No.2ヒーローであった父・エンデヴァーが、オールマイトを超える後継者を作るために行った「個性婚」。その思惑の中で生まれた焦凍は、幼少期から苛烈なスパルタ教育を強いられ、母・冷が精神的に追い詰められていく地獄のような家庭環境で育ちました。左顔面の火傷は、錯乱した母から熱湯を浴びせられた凄惨な記憶の象徴です。
長年にわたり父を憎悪し、母から受け継いだ右側の氷結の力のみで頂点を目指そうとした焦凍でしたが、物語が進むにつれて轟焦凍とエンデヴァーの関係は単純な愛憎劇を超えた深みへと昇華していきます。父を許すわけではなく、さりとて過去を否定して逃げるわけでもない――「父が犯した罪」と「ヒーローとしての偉業」を冷静に見据え、家族全員で過去の過ちに向き合う決意を固めました。
血の呪縛を断ち切り、家族再生のために自ら泥をかぶる覚悟を決めた姿に、多くの読者が胸を打たれました。親の敷いたレールを呪うだけの少年から、家族の痛みを背負って立つ1人の男への脱皮こそ、焦凍という人物を決定的に輝かせています。